【ゴジュンバ氷河調査行のお誘い

 

  氷河の痕跡しかない山に登る日本人が、なぜ氷河を大切にするのか。なぜ面白いのか。と言うことから氷河調査の重要性と、何を調べると何が判り、どの様に役に立つのか・・・そのようなお話をする、説明会を先日(1月16に)致しました。

  今年の10月10日から現地に行きます。この調査に行かれる方、日本での研究支援をされたい方、氷河池に興味をお持ちの方、どうぞご参加ください。日程は未定ですがまた日本山岳会(市ヶ谷)で集まります。

 

  

  下の写真はヒマラヤ観光からもらったものですが、湖とこの付近から見えるエベレストです。ここに2日います。

 

 

  この調査では、まずMt.フライトでクンブ全域を見て、次に現地に行きます。丁度成長過程にある氷河湖が、危険な氷河湖になるのか、安定した氷河湖になるのかを予測する為に地形と池の中を調べることを行ないます。

  そのために標高5000mにボートを浮かべたり、基準点を作り、探深機で池の内部構造を探り、山上から観測し、ある方法で上空からの撮影をしたり、電子顕微鏡を使ったり、観測衛星を利用したり、GPSの測定の精度を上げ、PCのソフトを活かす、等、最新の技術を上手に使って、楽しく成果を上げます。

 

  山や氷河に関心のある日本山岳会の方、山の自然学クラブの方はどなたでもご参加いただけます。zero@qb3.so-net.ne.jp  大森へどうぞ。

 

 

【山の麓の氷河に登ろうーゴジュンバ氷河GLOF調査隊】 大森弘一郎

 

【碧い氷河池の呼び声】に応えた 2016年の計画です、2010年の報告はこれの後にあります。

 

  JACの110年記念科学調査隊「ゴジュンバ氷河GLOF調査隊」が2016年の4月に出ます。これはJACまたはNPO山の自然学クラブの会員対象の募集ですが、入会すれば会員ですからそのつもりでお読みください。厳しい予算で、工夫して成果を上げます。2016年5月のプロジェクトです。JACから生まれ育った山の自然学クラブが起案した計画です。


  長期間の本隊の他に、参加期間を3週間にした調査体験のサポート隊の計画を加えました。「山に登らない登山」の価値を考える方のご参加をお待ちします。
  いまさら8000mに登ことができない者の負け惜しみかもしれませんが、頂上は麓にもあるよ、という提案と計画です。

  この文章の後に、この計画の予備調査をした2010年の報告があります。併せてそれをご覧ください。
 
  「山」とは・・・、地形の高いところだけではなく、その人にとって目指す挑戦の対象はすべて「山」である、と私は意識するのです。「心の山」という考え方もありますが、今回はもう少し具体的で科学的貢献が目的です。

  ゴジュンバ氷河の下流に住む人たちが、不安なく過ごせるようにする作業をしようと思います。


  この調査には5週間を要し作業もハードですが、計画の前半の3週間の楽しい部分に参加できるのがサポート隊です。氷河地形の中を歩くのです、帰るまでには氷河学者になっているでしょう。中部大の福井弘道先生や防災研の井上公先生の中部大隊と途中で交流します。

  関心をお持ちの方は zero@qb3.so-net.ne.jp大森 に連絡を下さい。詳しいご案内をお送りします。

 

  エベレストの近くにゴジュンバ氷河があります。チョーユーから真っ直ぐ南に延びた大きい氷河ですが、私は偶然の出会いから関心を持つようになりました。
  誰にでも目につくこの大きい氷河は、たまたま今、変化の節目にあります。表の上列は私の計測です。S.S.Thompsonのレポート
http://www.academia.edu/868109/ のデーターと補完関係にあります。

 

              1974  1984   1992  2007  2010  2016  2017~
氷河池の表面積     2  ――    7以上 15以上 31ha  ●●   

S.S.Thompson面積   ――   4       6      17      30
氷河池の体積      不明  不明   不明    不明    不明    ●●    

 

  私がはじめて1974年に写した写真を拡大して小さい池を数個確認(合計で約2ha)しました。これがさらに約30haに大きくなっています、表をご覧ください、これはこれからどのような変化をするのでしょうか100haになるでしょうか。表の●●の部分を今回は調べて  を予測します。


  氷河全体の氷の減少をサイドモレーン調査で知ることも行います。

  この氷河の変化は地球温暖化という人類にとって最重要の課題に対するセンサーです、山から恩恵を受けた者としてこれを調べて役に立ちたい。さらに100年に1度の今回のネパール大地震が残した影響も調べ、いつか起きる次の地震にどう対処しておくかも考えたいと思うのです。

 

  気象変動の他のデーターと対比できる氷河のデーターを現地で得て、衛星写真を主に生かし、ドローン撮影や、池に舟を浮かべる水深測量で、氷河の変化を読み取りたいのです。将来、大きい危険な氷河湖が出来ないだろうか、出来るとしたらこれを防げるか。


  氷河の変化は時としてGLOF(氷河湖決壊洪水)となって下流の人々に災害を及ぼします。今回のネパール大地震では無事でしたが、もし氷河湖決壊が起きると湖全部の水が流れ下ります、その水の塊は、津波の如く下流にまで影響を及ぼすと言われています。幅1km、長さ1km、高さ100mの1億トンの水が数10分で流れると、下流で幅が広がり、多数の住民に災害を及ぼすでしょう。これは津波と同じです。下流に住む人たちが、このGLOFの不安の無い暮らしが出来るようにするのが目的です。

 

  ゴジュンバ氷河の氷河湖が、安定な湖となるのか、GLOFの発生源となるのか、また地球の変化のセンサーとして何を教えてくれるか。この調査への参加をお誘いします。

 

 

  ゴジュンバ氷河は、チョーユーやギャチュンカンの南に広がる約100平方kmの涵養域を待ちます。もし年間2000mmの降雨(雪)量だとすると、年間2億トンの水(雪)が流れ下っていることになります。
これは一時氷河にストックされ、最終的には水となって流れます。実は山はその一時的にストックされた水によって荘厳なのです。

 

  この氷河の末端から上を見ると、チョーユーが真正面に見えます。山を成す雪氷が降って最後に消える位置に立って山全体を視野に入れるのです。ここの地名はパンガ、季節外れの大雪で遭難に会ったJAC会員がいた忘れられない地です。


  山の基礎の部分で動く氷河の末端も大切で、今回の地震でどのような影響を受けたかを知ることも重要です。氷河という山の価値を作っているものをとらえることも、登ると同じく有益であろうと思うのです。

  頂上は点です、登る過程は線です、見える山は面であり、山の実体は体積です。そう考えてみましょう、それに変化の時間軸が加わります。4つの軸を目指すこと、心は四次元に立つことになります。
 
  氷河の後退の2つの例を描きます。

 

 

①は現在の模式図。

②は、湖が拡大するにつれ、氷河は上部へ削られ、雪壁が高くなる。湖底は平らになり、ある時大きい氷の崩壊が起き、水面が急に上がってモレーンの堤を超えて流れ、それが引き金となってモレーンを削ってGLOFを起こすのだと考えられます。地震が引き金になる可能性もあります。

③は、安定した湖になった時の安全な姿です。

 

  シッキムのツォゴ湖で私が見た決壊部分は②がGLOFを起こした時の例。いずれにせよ山はこのようにして変化します。下の写真の左上の印は人です、大きさを比較して下さい。

 


 

③が望ましいのですが、②が予測される場合は対応が必要です。この調査は一回で完結はせず、長期の観測が必要であろうと考えます。

 

  2009年に写した写真からの変化は未来を読むのに役立ちます。

 

  氷河の上を空撮してよく見ると苔のように褐色のところがあります。氷河の表面に残った土の層に生えたものです。つまりその落葉低木の年輪と分布を見れば、氷河の変化がわかるはずです。氷河にはまだまだ今は気づいていない情報が含まれているので、それを調べる楽しみがあります。


  池が出来ている、それの写真記録は少ないながらあります。色から水の移動がわかります、現地で池の深さは測れます。これの断面形状で体積が判ります、これは予測に役立つはずです。

 

  人工衛星写真が活用されると、過去から未来の変化を多面的に知ることが出来ます。

 

 

 まず上空よりで空撮、次に電波探査機で氷の中の岩石を、ゴムボートを池に浮かべ音響探査と錘紐で水深を、ALOSの衛星画像で広域を、チャドテン(5065m)の頂上に観測定点を作って変化を、と全力投入を考えています。人工衛星画像技術は、過去からの変化を判らしてくれ、また今後のウオッチを可能にしてくれるはずです。

 

 チャドテンと東側の対斜面の山に観測点を作ってここから俯瞰したり、池にボートを浮かべ、モレーンの上のテントを根城にして氷河を歩き回り「未来への貢献」をしたい。これが私の提案する皆様と登りたい「山」です。

 

1、行動計画(サポート隊と本隊)  氷河池の融氷は5月12日だと思われ、6月には雨期が始まるので、それを考えて日程を考えている。

 

 本隊の作業:まずサイドモレン上に✖印を作ります。チャドテンと東岸の山に登って観測定点を作ります。5thレークまで登り氷河上部を記録します。モレン上にBCを作り、池を周って、ボートを氷河池に浮かべ水深地図を作ります。GPSで池の形状を測ります。氷河の末端の立体地図を作ります。人工衛星の画像と出来ればドローンで氷河の形状を求めます。隊員のアン・ニマ・シェルパに今後の定点観測をやってもらいます。通年の変化をウオッチします、⑫過去からの人工衛星画像で変化を知り、さらに継続ウオッチをやります。

サポート隊撤収は15日の予定。本隊は調査継続

2、サポート隊参加費用:49万円

 

3、クムジュン村との連携:5年後、10年後の継続の基盤づくりをクムジュン村でする、ヒラリースクールにも協力を仰ぐ。エベレスト街道とゴーキョピークトレックルートの起点になる所で今後の調査の起点にすることが出来る
今回の参加者が継続作業の推進をしてくれると嬉しい。

今後チャドテンという5065mの観測定点を活用する、今回はそのきっかけである、トレッキングの企画に加え、結果をHPで世界に発信する。

 

4、(本隊) 隊長:大森弘一郎、補佐:アン・ニマ・シェルパ、(サポート隊)野島輝雄、渡邊嘉也、野本勇、道具将人。

 

5、中部大隊と現地で情報交流。

国内で今年及び通年のサポートを出来る方が加わって下さると有難いです。

 

6、海外との連携:S.S.Thompson,DigitalGlobe社,LonnieThompson, D.I.Benn, ICIMOD

 

第2回説明会を1月16日に行います、日本山岳会(市ヶ谷)で13時より。(終了)。

 


 

【碧い氷河池からの呼び声】 (これは2010年の報告です)   大森弘一郎

 

【1】はじめにお誘い

 

  山の自然から自然学のいろいろを教わって来ると、何かに役立てたくなります。日本の氷河地形を見て、かってそこが氷河であった姿を想い、モレーンの成り立ちや氷河湖を考えて楽しんだ後、次にいろいろの展開があると思うのですが。

  私の計画はその一つです。実はその美しい地形を作ったと同じ氷河が、今まさに生きて動いていて姿を変えている所がある、それが手のとどく身近にあって、その氷河の中には人々に危害を及ぼす湖に成長しそうなものがある。そのような氷河がヒマラヤの随所にあるのですが、その調査と対策に関心をもつ仲間(同志)が増えてくれると良いなと願っています。その期待がこの報告を書く背景にあります。

 

  これをお読みになり関心を持たれた方はぜひご連絡ください、毎年進めています。現地の地上調査、空撮調査、日本での衛星調査、未来の変化の予測、を全部でも一部でも関心を持って、一緒にやることで充実した時間を持つ仲間がさらに増えてくれないか。今回の作業の延長線上として、資金と人が集まったら、現地調査、空撮調査と衛星による調査を、今年(2011)から出来る順にしたいと思っています。最後にその計画を書きますので、良くお読みください。

 

【2】これまでの経過とこれからの方向

 

  1974年12月、GENの(グレッシャー・エキスペディション・ネパール)の一員としてカトマンズに行っていた五百沢智也さんから電話が入りました。B727のチャーターが出来たよ、いついつ飛ぶから来い、と言うのです。その時、勤めの仕事をどう処理したのか覚えていないのですが、BKKから満席の、HND―BKK―KTM便の切符を手に入れるためにウルトラCの工夫をしたことを覚えています、結局は羽田から飛んでいる機内で調べて、バンコックでデリー経由に変え、すぐ後を飛んでいる飛行機に乗り換えてデリーへ、デリーから朝一番のカトマンズ行きでチャーターに間に合ったと記憶しています。

  この時は、たまたま私が飛行機に一番詳しかったので、クンブの上空のナビゲーターの役として参加したのでした。

  1974年12月23日。B727の着色された窓の色を色温度計で測ってフィルターで消す工夫をしたり、パイロットに中国の国境に近い飛び良いコースの指示をしたり。その結果は希望のように充分には行きませんでしたが、宇宙空間から見たような(当時はそう思った)エベレストとクンブの写真が写せました。

  そのころは地球温暖化の予感すらなく、写った写真の価値も知らずに、目は山に行っていました。その写真の中にはゴジュンバ氷河が写っていましたが、その時はそれから何も気づきませんでした。今見るとそこに池はありません。

  下の写真の左が1974年、右は1992年です。

 

 

  さかんにヒマラヤの空撮をした時期がありました。仕事にも熱中したためにヒマラヤに登れない代わりでもあったようです。1992年のことですが、その4月10日に山を巡って飛んだ帰りにゴジュンバ氷河の末端を撮りました。ここはチョーユーからシャンボチェに帰る飛行コースの途中であり、嫌でも氷河が目に入ります。特にゴジュンバ氷河を意識したというわけではないと思うのですが、碧い池に魅かれてこれを写していました。

  よほど美しくて、気になったのだと思います、その時に作った本の中にも使っていますから、ずいぶんその池が好きになったのでしょう。

  今になって見るとこの写真は美しいだけでなく、氷河の変化にとって凄く意味を持ったものでした。1974年の写真は上にあります。1992年に撮影の俯瞰写真と2009年の武田記者の写真を並べます、池の拡大状況をご覧ください。

 


  世界では地球温暖化が大きな問題になり、氷河の後退の影響が取りざたされ、氷河湖決壊洪水・GLOF(glacial lake outburst flood)が注目されるようになりました。自然に関心を持つ者として、何かしなければと言う気になります。

 

  1983年に写したスイスのヒュフィ氷河を20年たった2003年の同じ日の同じ時間に行って写して、氷河の変化を記録しました(会報3号の15ページ口絵)。次の10年後は2013年です、9月15日の12時30分に同じ所に行かねばなりません。

 

  2005年4月に、シッキムのゴーチャラ峠へ行った時、ツオカップと言う湖が決壊して湖底が露出し、下流域のヨクサムで被害が出た現場を見ました。

 

 

  左の写真は湖底を歩いているところ、右の写真は決壊口ですが左上にいる人の寸法と比較するとその高さ(深さ)は約100m、湖の縦横1km(歩測ですからもっと小さいかも知れない)だとすると、だいたい氷河湖には1億トンの水がたまり、これが決壊して一気に流れたことになります。恐らく湖の上の氷河が崩れ落ちて、これが引き金になったのだと思います。

  このように氷河湖の決壊は、下流域に大きな被害を及ぼすのですが、この氷河湖決壊(GLOF)を未然に防げないものかと考えました。

 

  2007年、朝日新聞と名古屋大が社機をヒマラヤに飛ばすと言う計画が耳に入りました、この機会に、1992年ごろの私の氷河写真と比較出来る撮影をしてほしいと伝えましたが、充分に連絡がつかないうちに、10月に朝日の社機は飛んでいき、そして武田記者が素晴らしい写真を持ち帰ってくれました。

  マナスルの近くのツラギ氷河のほかに、希望するようなゴジュンバ氷河の池の写真(上載)があったのです。ツラギ氷河は1979年から2倍ぐらいに拡大しており、ゴジュンバ氷河は1992年と比較すると池の周囲が大きく拡大していました。さらにGLOFへの関心は高くなります。

 

  山の自然学クラブ会報5号には、シッキムで体験した、消えた氷河湖の経験を書いてありますからご覧ください(151頁)。1983年と2003年に写したスイスのヒューフィ氷河の変化を会報3号と朝日新聞で発表しました。会報7号に書いた「ヒマラヤの氷河湖に対してやりたいこと」(165~172頁)、会報8号の「氷河湖の災害防止対策の進展」は、それらの調査の継続であり、次の行動のための予備調査となったのが、以下にご報告する行動です。

 

  写真と言う記録媒体は対象を良く記録しています。1974年と1992年と2007年の比較写真に加え、この後の2010年の空撮も含めて、詳しく見ているとモレーンと池の変化がまざまざと読み取れるのです。

 


  池の周囲の地形に残された皺の形状からは過去の氷河の変化が読み取れ、動きを止めた氷河の氷が消えて後に「どのような地形が残される」のか、その予測の手掛かりが見えます。

 

  自分が写したゴジュンバ氷河の碧い池を見ては考えていました。「池を大きくさえしなければ危険な湖は出来ない」はずだ。「池である内に水位を下げておけば」よいのではないか。それによる危険は無く、我々の手の届く作業ではないだろうか。もし放置して自然の成り行きに任せていた場合、そこに出来る池(小さい氷河表面湖)は成長して危険な巨大湖になるのだろうか、それとも安全な湖になって落ち着いてくれるのだろうか。それを知る方法を持てないだろうか。

 

  将来出来る堤が氷を多く含んだ薄いモレーンであって、水位が高ければ危険だろうし、堤が厚くて水位が低ければ安全だろう、その程度のことは見当が付きますが、どうやって確実な判定が出来るだろうかと考えます。

 

  ヒマラヤの氷河は、夏の雨季に成長するため、地球の温暖化の影響を受けやすいという性質があります。ということは、その変化を調べることは、①われわれ自身への温暖化の大きな警告として役立つ側面、②氷河湖の成長が下流域の人々に与える影響を小さくする対策を考える側面、③変化する山の自然のその現場に身を置いて、知り、考えることができる側面、があると言うことです。

 

【3】氷河湖研究

 

  ②を考えた場合、GLOFの研究の第一人者の岩田修二教授(立教大学)の研究が大きく役立ちます。岩田教授によると、GLOFの発生は、「モレーンダム湖が危険で、これは、〈散らばった小氷河表面湖群〉→〈合体して巨大化した氷河表面湖〉→〈前面に氷体を持つモレーンダム湖〉→〈モレーンのみのダム湖〉と言う発達段階がある」ので、この終りの方に危険な段階がある。だから衛星情報などでウオッチを続け、決壊洪水の危険度の査定を行うのが良い、とされています。またそれぞれ多くのグループの関心により、GLOFの近づいた湖の研究が行われています。

  1985年のネパールのクンブでの水力発電所を破壊する氷河湖決壊は、山田知充氏が詳しく報告しています。1994年10月7日のブータンのルゲ湖のモレーンダムの決壊のあと、岩田修二教授、上田豊氏らの調査隊はブータンの氷河湖調査を行って、決壊洪水危険度査定への調査法の模索が進んでいます、その中には衛星情報の重要性の指摘があります。

  しかし地形を見て、池を見て、池(小氷河表面湖)の段階で危険氷河への成長を予測して、その時から対策を取ろうという考えはまだ無いようです。

 

【4】下見と予備調査にともかく行ってみよう

 

  氷河池が、岩田教授が示す〈散らばった小氷河表面湖群〉に成長する前に、そこに出来る氷河が危険氷河湖になるかどうかを読み取り、必要なら対策を取り、落ち着いた氷河湖に安定さす方法は無いだろうか。ゴジュンバ氷河は丁度その良いタイミングにいるのではないか。

  私たちに何が出来るか、現状はどうなっているか。池レベルでの対策ならやれそうだが、まずは行ってみよう。

  そういうわけで計画の同行者をつのりましたが、呼び掛けが下手だったようです。自分が見ていないのに強くは誘えないというわけで、まず一人でシェルパとポーターの3人で行くことにしました。

 

  次回の参考のために、今回の行動を簡単に書きます。行動はアン・ニマ・シェルパ君と言う、3人の可愛い子供を持つクムジュン村に住む若いシェルパと、ローテン・ライ君と言う15歳ぐらいのポーターとの小屋泊まりの3人旅。中々愉快でした。行きは高度順化を考えて時間をかけましたが、上手にすれば短期間の約2週間で、もっと多くの調査が出来ます。

 

 

  出発は2009年11月13日朝、①成田→デリー②デリー→カトマンズ③カトマンズ→ルクラ→シャンボチェ(3720)→サナサ(3500)④サナサ→クムジュン(3780)→クワンデのビューポイント(3900)→サナサ⑤サナサ→モンラ(4000)⑥→フォルツェタンガ(3680)⑦フォルツェタンガ→ドーレ(4110)⑧ドーレ→パンガ(4480)⑨パンガ→第1レク→氷河の拡大湖へ→パンガ、⑩パンガ→ナァー→ハート形の翡翠色の池へ→パンガ、⑪パンガ→チャドテン途中(5000)へ→パンガ、⑫パンガ→ドーレ⑬ドーレ→クムジュン⑭クムジュン→シャンボチェ⑮シャンボチェ→ルクラ→カトマンズ⑯カトマンズでシバプリへ(石楠花植林)⑰カトマンズでチャルナケールナーサリへ(椿の育苗)⑱カトマンズ→デリー→東京⑲12月1日朝帰国

 

  この丸数字の後が1日分です。高度順化のために、行きに随分日程を取っていることがおわかりでしょう。もし高度順化が不要なら、日本からこの現場のそばのパンガまでの距離は最短で3日です。④の日は曇り、⑤の日は雨、霧、雪でしたが、その後は快晴続きで顔は真っ黒です。今回はパンガに4泊して3日間調査に動きましたが、さらに現地での時間がほしいと思いました。また11月は日が短くて動けるのは9時から2時半ぐらいなのです、すぐ暗くなりますし、寒くなります。10月ならもっと効率良く作業が出来ると考えます。ただシーズンオフであるため小屋がすいていたのは幸いでした。食事は全部現地食でしたが、うまい副食を持参したらもっと動けたでしょう。

 


  さて調査と氷河湖に関することについて。軽登山と言う言葉がありますが、これは軽調査行です。上の左の写真の中の器具を見てください、日曜大工で買った水準器もどき(レベル)や、釣り具屋で買ったリールと糸と重り、これは水深を測るためです、ゴルフ用のレーザー距離計は不正確で使い物になりませんでした。むしろ1m間隔の印をつけた紐の方が役立ってくれました。方位に代えて遠景を入れた写真撮影を使いましたが、現場で詳しく測るべきでした。それから水に落ちないためのザイルをもっと使って水に近づくべきでした。右の写真は水準器もどきを使って増水時の水量を測っているところです。


  歩きながら地図に場所と撮影番号を記入し、位置方向を記録しながら地形を写して記録しましたが、後の空撮との対応を予測して、もっと位置が判るように撮るべきでした。他に紐で20mに基線を取った立体の写真を数か所で基線を引いて写しました、しかし撮影位置が低いため見える範囲が狭く、これでは役に立たず、後の空撮と対比して意味が出てきました。右は岩屑の上の植生です。

 


  水準器モドキを使って測った下流のナァーへ渡る橋の地点の川の断面を考えました(上上右写真)。ここで流速から水量が測れなかったのが残念でしたが、後から考えると測定に向いた場所は近くにありました。写真から増水時のレベルがわかります。これから見られる水量から考えると、上部の崩壊の意味が判りそうです。このように水準器もどきは写真と組み合わせることで有効な測定が出来ていました。GPSもレーザー距離計も、持っていましたが、充分に活かせなかったのは機器への不信感によります。現場で見るこの場所は衛星写真と、これまで写真でっていたこととは随分違いました。     

  今回の調査で一番の問題は、自分の思うようにならない体です、酸欠で動きの悪いこと。高所で誰も助けてくれない一人ですから、用心しているということもありますが、もう少し負荷をかけて動いても良かったなと思っています。ただ反面、頭痛や、思考が鈍ることは一度も起こさないで済みました。あとで写真を見ると、少しむくんだムーンフェースでした、現地でも体調を見るために鏡を見るべきです。

 

【5】氷河のことが少しづつ判って来る

 

  これから何をすべきか、考えたことを述べて見ます。また今回の写真データーの解析を考えていましたが、次の4月にやった空撮調査で疑問が解け、次のステップに一気に進んでしまいました。

  まず氷河のターミナルモレーンの構造が安定か不安定かを知らねばなりません。これには氷の含有量を知りたいのですが、計測には手が届きません、一方池の深さがその考察にずいぶん役立ちそうです。モレーンの壁に内部の融けた氷と一緒に噴き出たのであろう岩の跡がありました。内部に氷と水路が有ると言う不気味な印象を受けます。これはのちの空撮調査で見える沈むモレーンのどこかの地下流路になっていると思われます。

  右の写真は今後の観測定点の一つにしたい所、橋が目印です。

 


  次は氷河の融水の流出がどうなっているかが、注目点でした。サイドモレーンの外側につながっている、第5レクから第1レクを通る流水とサイドモレーンの内側から流れ出る水との合流点の水量が、取水域(涵養域)の大きさの差と違う、どうも内側が少ない印象を持ちました、なぜだろうか。

  この水量はぜひ測りたい、これは氷河の未来像を知る鍵だと思いつつ、流量を知る作業までの余裕の時間の無かったのが残念でした。

 

  予想とは異なり、ターミナルは基岩に支えられた独立した塊で、上部の氷河はその手前に流路を作って上手に水の放出をしているようでした。

 

 

水は0度Cだと想像しただけで、水路に手を出すことを考えなかったのが残念でした。しかし写真で良くわかります。ここは放水を考える場合の鍵の場所です。ここで放水して上部の水位を下げることを考えましたが、その後の空撮でもその考えが有効だと考えられます。


  いくつも連なる土手の奥の小さい池(左写真)のさらに奥に、色のついているところ(植物がある、即ち安定)へたどり着くと、ハート形の池がありました(実は当初思っていた池とは違ったことが後の空撮でで判る)。

 

 

  翡翠色の深い蒼、それは魅力的な池で、中心部の水深を測ろうと試みました。ところが何と結氷しておりました。石を投げて開けてくれた穴に、釣りの錘を落とすのは至難の技で、結局は糸が氷のエッジで切れました。岸から2mの位置での水深は5m、さらに方法があったと思われますが、この時それ以上は出来ませんでした。池の水深測定はターミナルモレーンの理解に役立つ鍵が潜んでいると思われます。ゴムボートが必要です。


  氷河を俯瞰できるかも知れないと、氷河の側部にある、チャドテンと言う小さな山(丘)に登りましたが、50度以上の草付きの斜面で頂上まで行かず、途中の見晴らしの良い場所の三角の岩に赤い色を塗って、測定の標識としました(写真下)。後の空撮を見ると頂上にも良い定点が作れます。

 


  そこで写した写真の実体視の出来る対の一部を載せます。これの基線は18mです。この赤い三角の岩は登るとき下から見える目標になりますから、ここに次に登る方はぜひこの場所からターミナルモレーンの状態を写して、記録を引き継いで下さい。


  上の写真は赤い三角岩の場所から写したターミナルです。この場所には20mの基線になるように赤い岩は2つあり、そこからの2枚で実体視が出来ます。この写真を使ってシービーエス株式会社の技術で3D化したものが下の写真です。空撮は毎年行えません、この定点で通年と各季節の観察を続けたいと思います。地上の実体撮影で、かなり情報を得ることが出来ます。

 

 

  以上が、「軽調査行」の要点です。ゴジュンバ氷河に大きい氷河湖が出来る可能性が有るのか無いのか、有るとしたらどれほど危険か、それをどうすれば防げるか。準備を整えて再び調査に行きたいと思います。また写した写真に有る情報は、人の解析能力よりもはるかに高いので、公開して多くに活用して貰おうとホームページで公開しました。情報量が大きすぎてITでは送れません。活動の仲間になってくださったら、CDで生データーをお送りします。以下はその一例です。この時の氷河データーは全てJAMSTECのホームぺージ http://www.jamstec.go.jp/acdap/ に載せてありますから、ご活用ください。

 

 

【6】現地調査の結果

 

  その後衛星写真の解析から、氷河の末端にある放水路に手を加えたら何とかなるのでは、との予測をしましたが、問題はもっと複雑そうです。今回、ゴーキョの近くで氷河横断の道を作りなおさねばならないほど、池が大きくなっているとの情報があった時、この上部の池の調査を優先させるべきでした。その上流にある池の動きが要注意です。後から思えばさらに滞在を延ばして上部を見るべきでした。後にゴーキョピークに行く堀内俊秀氏にお願いして貰った写真は、このように池の変化を表しています。昔の写真と比較して下さい。

 

 


  現場ではターミナルの手前が沈み始めているとの印象を受けましたが、計測は不能でした。次は、サイドモレーンにある痕跡と写真を見直していて後で発見した基岩の縁の痕跡と植生で沈下の動きを推測したいです。この基岩はターミナルの変化に影響しそうですし、今後調査に利用できます。ALOSの情報を拡大するよりもどうも空撮の方が平面で10倍立体で100倍ほど情報が多そうです。1枚の航空写真から何が読めるかを書きこんでみました。

 

 

  現場をつぶさに見て、衛星写真の限界や、昔の空撮の中に見えるものが現場の何を表わしているのか、を理解する手掛かりを掴みました。次は低空からの3Dが作れる空撮で、細部を知りたいと考えました。

 

  改めて航空測量で作られた地図の全体像を見ていて、危険な氷河湖の地形、危険な氷河池が生まれそうな氷河地形、安全な氷河地形と安全な氷河湖、が読み取れるかなと思います。さらにALOS情報と空撮情報を加え、より広い範囲の氷河の評価をし、危険部を探して公示し対策を共に考え、広く役立てること、及びゴジュンバ氷河の安全への調査と対策が、今後のテーマとなると考えました。

 

  また、氷河と池と湖を見て、それの未来を「安全と見るか、危険と見るか」の評価がいずれ必要になるでしょう。今の考えでは、氷河と氷河湖の危険度は以下の項目の評価で決まると考えています。〇融けた水の流路の状況、〇涵養域の大きさ、○貯まる水のストック量とストック速度、〇堰き止めの状況、〇貯まり易い地形かどうか、○堤を構成する材料と厚さ、〇人家と道の川からの高度差。○影響する下流域に住む人と住居の有無。

 

【7】衛星写真と空撮調査

 

  ヒマラヤには2000の氷河があり、200の氷河湖があり、それら全てに潜在危険があり、今4つの氷河が危機にあると言われていますが、湖の無い氷河も後退するといずれは池と湖を作る可能性があり、それも考えると大変な問題ですが、詳しくは判っていないようです。

  4つの氷河とは、マナスルの南西約10kmにあるツラギ氷河、エベレストの南西約45kmのツォ―・ロルパ氷河、エベレストの南約9kmのイムジャ氷河、マカルーの南約10kmにあるローアー・バルン氷河。いずれも約1億トンの貯水量で、衛星写真から読み取って、2007年までに15年間で最大45%貯水量が増えているとの報告(JAXA)があります。ツォー・ロルパは増えていませんが、これは対策が取れているからで、放置してある氷河の水位は上がっています。

 

  これら出来てしまった1億トンの水を持つ氷河湖に対策を取ること。氷が混ざったモレーン、高度、アクセスの無い奥地。と言う条件の中でいかに大変で、危険を伴うことか、想像がつくと思います。堰止湖の氷の混ざった堤に排水路を作るのは、堰にどう影響するのか判らず考えにくいことです。そのような氷河湖の増える温暖化環境は進んでいるのですから、ヒマラヤ全体を考えると人の力を超えています。

 

  そこで、氷河湖発生の過程をウオッチして、実態を掴み、氷河湖の生まれる前の池の段階で対策を取ることが出来れば、少しは有効であろうということです。

考えてみると、今危険だと言われる4つの氷河湖も始めは小さな池でした。今池を持たない氷河も、地形によればいずれ氷河池が出来て、次に大きい氷河湖に育つかも知れません。この池から湖を作る氷河のターミナルを見つけて、どのように成長するかを予測し、池の段階の時に流路を作って、水位を下げる将来の水抜き対策を取ることが出来るなら、それは人に出来るレベルだと思えます。

 

  氷河は必ず氷河湖を作るとは限りません、融けた水を排出して上手に縮小してくれることもあるし。また氷河湖は必ず決壊するとは限らず。安定した堰が出来て、安定した湖の状態に育ってくれる場合もあります。氷河のターミナル・モレーンには氷が混ざっていますから移動が止まったあとの氷河湖の水位が低ければ、次第に堤の氷が無くなって、地形によればそのまま安定してくれます。

このような氷河ごとに異なる条件から未来を読み解くことが出来れば、いたずらに恐れず、対象を絞って対策が小さくて良い内に手を打てるので、氷河からの災害をは減らすことが出来ると考えます。

  危険への成長を予測して対策を取るする技術を作ることが出来れば素晴らしい。安定した湖が出来ることは、環境としても望ましいことです。

 

【8】空撮調査

 

  その方法として、①ランドサットより優れる日本の衛星の「だいち」が送ってくれるALOSの画像で氷河の舌部を見て、危険氷河湖発生の予知をして調査地を絞り込む。②その場所を空撮により精密に調査する。③さらに問題地に地上から行って調べる、と言う手順を考えました。

  ALOSの画像には、一枚にほぼクンブの半分が入り、ゴルフ場のバンカーや池を識別出来ます。下の写真はALOSの一部、ゴジュンバ氷河の全体像の切り取りですが、このターミナル部を拡大することが出来ます。

 

 

  これは充分使える能力ですが、それで十分か、空撮による補完が必要か。そのような関心を持ってゴジュンバの空撮を行いました。
  ALOSの情報は、上の写真のように調査地をカバーしていて、これの要部を拡大することが出来ます。ALOSの分解能は黒白で2.5mピクセル、カラーで10mピクセルで、ゴルフ場を見た写真の例ではバンカーや池を確認できていますから氷河のターミナルの池の有無を監視するには十分な能力を持っています。この衛星は同じ地点を70日に1回見ていてくれますので、雨季を除く雲の無い同じ時期のヒマラヤの変化を、毎年監視出来ます。

 

  2010年4月14日~17日にルクラ、シャンボチェに行きました。飛行日は15日と16日の2日各々1時間30分のフライトで、目的を充分に果たすことが出来ました。

まずこの時のゴジュンバ氷河ターミナルの写真全てをお見せします、氷河対策研究にこれが必要な方は、JAMSTECのアーカイブで見ることが出来ます。さらに関心のある方には細密な生データ―の写真をCDでお送りします。(zero@qb3.so-net.ne.jpへ連絡ください)。生の情報をぜひ見て解析して頂きたいと思います。

 

【9】空撮から判ること

 

  始め衛星写真で概要を掴み、これを空撮が補完すると考えていました、しかしALOSの性能を知るに従い、ALOSで充分かも知れないと考えるようになり。そこで空撮がどのくらい役立つかも今回のフライトの目的です。

  その結果は、ALOSよりもはるかに(100倍ほど)空撮から得られる情報が多く氷河表面の細部構成まで理解出来る画像が得られたということです。これに地上で見た部分の状況と付き合わせると全体の理解も深まるのです。

 

  同じ部分を拡大して、ランドサット、ALOS、空撮と比較のために並べます。ALOSも空撮も3Dで見ることが出来ますが、その画質と画像から得られる情報の大きさの差は同じです。

  即ちALOSで全体像を、空撮で重要部を詳しく知る、という組み合わせ良い補完関係になり優れていることが判ります。(写真は左からランドサット、ALOS、空撮)

 

  空撮写真からの3D画像の切断面を作り、理解に役立てる方法を試みました(写真下)。図の中の手書きの数字は、下の0とのmの高度差です。

  なおこの3D化の作業は、シービーエス(株)のご協力で行われたものです。

 

 

  この空撮写真を拡大して現場を考えていて、いくつかの発見をしました。俯瞰写真の中の一枚を使って気づいたことを次ページの写真の図の中に記入しました。これの原画をご覧になりさらに気づいて頂きたいと思います。

 


 

  ハート形の池の色が1992年の状況から変わっていることに気づきます。独立した雨水と融けた氷の池から、氷河ミルクが混入した色になっています、どのようにして氷河の水は流入したのでしょうか、氷河の下部でしょうか。またその下流を見ると、乳色は他の池の色と違う池を辿ることが出来ます。ここに新しい放水の流路が生まれつつあるのだなと理解出来るのです。

 

  この岩屑被服氷河のターミナルにどれぐらいの厚みと高さのモレーンが残ってくれるのか。それを最も知りいのですが、写真を読んでいると少しずつ疑問が解けてきます。

 

【10】クムジュン・セカンダリー・スクール

 

  この作業は現地で活かして貰わねばなりません。また最も観察したい、記録を残したい雨期の状況を調べるのは、われわれにとっては大変です。そこでクムジュン村にある学校にパートナーになって貰い、学生と卒業生と一緒にやり、地元の人々を啓発したい。

 

 

  現地調査に同行してくれたアン・ニマ・シェルパ君はクムジュン村の学校の卒業生の一人です。クムジュン村は、その行政区がチョーユー、エベレスト、ローツェツエ、マカルーまでと広く、その中に多くの氷河を持っていて、この問題には大きな関心を持っています。来年(2011年5月)はこの学校の創立50周年. 芦峅寺の小学校とは姉妹校提携をしており、この時は立山カルデラ博物館の出番です。

 

【11】今後の計画  

 

① 2011年1月より、参加メンバー(関心者)を広く募集、

資金集めを始める(資料の販売、寄付、他)

② 4月に立山室堂、雪と雷鳥の研修旅行(資金集めにも役立てる)

③ ALOS解析始める、重要部を探す

④ 6月上旬に白根志賀岩菅氷河研修旅行(資金集めにも役立てる)

⑤ 6月下旬に白根志賀岩菅氷河研修旅行(資金集めにも役立てる)

⑥ 8月志賀と上高地でインタープリター時に氷河雷鳥基金(啓蒙と資金集)

⑦ 9月富士登山、頂上滞在(高度順化の目的)

⑧ 10月クムジュン学校とゴジュンバ共同現地調査(希望メンバーによる)

⑨ ルクラを基地にしてクンブエリアの空撮調査(希望メンバーによる)

⑩ 資料解析

⑪ 報告と資料公表(日本・ネパール・クムジュン・IT)

⑫ クムジュンの若者により雨期の調査をしてもらう(定点観測)

⑬ 空撮においては、クムジュン村の行政区である、クンブ、ロルワリンの全域の氷河   

の現在を記録したい。これは将来の比較変化調査にかならず役だってくれる。下の地図にある丸印は氷河の位置、これを全て写す、線は予測する飛行コースである。

 

 

【12】氷河池調査対策活動の啓蒙

 

  出来た危険氷河への関心は高いが、「これから出来る」氷河湖に対する関心は低いのが現状です。これを高めるためにこれから関係者への報告活動を行います。画像公開に限らず、機会をとらえて報告を行います。手始めに、この原稿を書き終わった12月9日に札幌で飯田肇さんが報告しました。以下はその報告文です。

 

12月8日、北海道大学低温科学研究所で開催された。

氷河研究集会(名古屋大学、北海道大学等主催)において、会員の飯田肇(立山カルデラ砂防博物館)が、NPO法人山の自然学クラブのヒマラヤ氷河池プロジェクトについての概要を紹介した。

2010年4月の調査で大森弘一郎氏により撮影されたゴジュンバ氷河消耗域の写真を中心に、池の拡大が進んでいること、氷河表面に水路が形成されていること、プロジェクトでは小さな池のうちに地元と協働で対策を講じることが重要だと考えていること等が紹介された。

会場での関心は高く、ヒマラヤ氷河研究者から多くの議論があり、小さな池のうちに対策を施すという発想について評価する声が多く聞かれた。ただし、池の拡大が危険な氷河湖の形成につながるかどうかの判断の難しさもあわせて指摘された。

ヒマラヤの氷河湖についての研究は近年大きく進んでいるため、このような研究成果を踏まえてプロジェクトを推進することが重要だろう。そのためにも、今後、大森氏による詳細な調査報告やプロジェクト紹介の機会を多く作っていくことが必要であると感じた。

 

【13】これまでの協力者

 

  なおこの活動は、以下の企業と多くの皆さまのご援助で進めてこられました.

ここで厚くお礼申し上げ、お名前を記させて頂きます。(敬称略・順不同)

財団法人リモートセンシング技術センター、JAXA、シービーエス株式会社、株式会社共立理化学研究所、シャレークリスチャニア、上高地アルペンホテル、ヒマラヤ観光開発、32応化会、ポカラ国際山岳博物館、ICIMOD,TARAエアー、岡内完治、田中慶郎、田中大輔、田中若葉、田中新之助、田中嘉乃、田中綾乃、関崇行、関富夫、宮部正治、吉田忠弘、村松謡紀、片山忍、今泉裕之、木村邦夫、倉掛明莉、松井順二、川上彰子、江上陽子、柳田和佐、大曲典、安徳洋子、折笠、神尾公美、原田知実、萬濃その子、内田千賀子、木内敦子、三上律子、喜多村真美、大谷章子、児島直子、小田久美子、小塚昇、松田幸子、樫原鈴子、阿久津七光、島袋朱花理、阿久津典子、阿久津たか子、高井奈津子、中島百合子、中矢ゆい、岡部良子、額田早苗、近藤千恵、刀山妙子、坪井智恵、岡田敏子、飯塚真喜子、山下民子、小野妙子、佐藤恵、吉田篤子、田中秀一、たなかひろき、にしもりゆみ、にしもりまゆ、奥野亘、小嶋まどか、村松正美、吉田博文、関口久江、かとうゆきよ、正村恵理子、都築偕子、今泉統子、伊藤武彦、田淵美樹、井上徹之、植村俊夫、小菅賢三、佐賀さよ子、坂本すみ子、山口和子、市来洋子、辻岡志郎、宇佐美由佳、シャム・バハドゥール・ドンゴル、Capt.Bharat Singh Thapa、Copt.Rodrigo Ortiz Hernandez、Engg.Shanta Kumar Maharjan、

 

【14】追記

 

  これをまとめて後、いろいろ考える機会があった。それを通して今後のことを整理する。

 

  1、このレポートを使いクムジュンスクールで報告会をする、現地の村人、学生、OBに集まってもらう。関心を持ってもらい、今後の監視チームを作ることを働きかける。

  2、彼らに定点を決めてもらい、雨期を含めて定点観測を続けてもらう。自発的な行動になると良い。

  3、その情報も参考にして、必要ならターミナルのバイパス流路を作るプロジェクトを行う。

  4、ターミナルの写真を良く見ていると、次第に変化するであろう方向が読めてくる。

流路が左岸にも出来つつあるが、これが出来るとモレーンの氷の融解が早まり、また土石を流してモレーンを小さくするので、決壊しやすい氷河湖になる可能性が高くなると思われる。右岸の流路を掘り下げて、出来つつある氷河湖のレベルを早く下げておくのが安全に有効である。と思うが。この解析に必要なことをもっと深く行いたい。

  5、クンブとロルワリン全域のターミナルの空撮を行い、将来のために記録を残し公開する。これは今過去データーが役に立つのと同じで、今のデーターを残すことに意味がある。

  6、次に可能ならネパール全土をやりたいが、これはクンブが出来てからの次のテーマ、届くかどうか。