【除染と廃棄物】

 

【除染土壌の処理について】

 

    除染と人々の生活と除染土壌の処理のことについて、未だに良い対策が取られていませんが、これについての考えをまとめます。

 

    まず、半減期と言う言葉を考え直しましょう。福島原発の水素爆発のあと、放射性のヨウ素131の影響を皆で心配しました。その次にあったのは放射性セシウムです。

  ヨウ素131の半減期は8日です、8日で1/2になると言うことは、16日で1/4、30日で1/16、80日で1/1000、4ヶ月では1/10000で、始めの内は問題ですが、数ヶ月でほとんど影響がなくなります。

  ヨウ素131が怖いのは飛散の初期のころで、これはホルモンを作るために甲状線に貯まっているヨウ素127と似ているからですが、数ヶ月でほとんど消えていることになります。今はまず消えています。

 

  ヨウ素の半減期が短いと言うことは、短時間で放射能を出してしまうので、はじめは危険ですが時間が経つと消えてしまいます。一方半減期の長いものはいつまでたっても放射能を出しているのですが、その出ている量は小さいと言うことになります、例えばウラン238は45億年、プルとニウムは2万4000年、しかし小さいと言っても元が多ければ当然多いのです。
  放射性物質の放射能が半分になると言うこの半減期は、元素の基本性質ですから待つ以外どうにもならないのです。セシウム137の半減期は30.1年でこれは時間が経つとバリウム137という安定な物質に変わるのですが、それまでは水に溶けやすく、沸点が680度Cと低いので空気中に粒子で浮かびやすく、そんなわけで始末のわるいものです。散らばったセシウム137は30年、60年経っても数分の1にしか減りませんが、放っておいても200年で1/100、300年で1/1000になります。


  放射線は光のように一過性です、しかしセシウム137を食べたり吸ったりして体内に取り込んでしまうと、何時までもそこで放射線を出し続けているので、これは影響が大きくなることになります。食べ物と埃からです、量によります。

  

  さてセシウムの除染ですが、焼いても体積が減るだけ、吸着させても溶けにくくなるだけ、移動させても場所が変わるだけで、海に流れて希釈されたつもりのものは魚の体で濃縮されて帰って来る、消えるには時間を待つ以外に方法が無いのです。全く厄介なものです。長い時間ですがその時間が経てば消えます。

 

  ですから私が考えるのは、下手にいじって動かしてまた燃やして拡散させるのでなく、「集めて貯めて静かに待つ」というものなのです。


  福島原発の周りや、あの時に雲に乗って拡散して雨となって落ちた周囲の地域、地図で赤くなる悔しい地域ですが、この5km圏内ぐらいは、まずセシウムが消えるまで待つ以外方法が無いのだと理解しましょう。


  少しでも帰宅できる地域を広げようと除染をやる気持ちは判りますが、それに年月がかかるうちに、離れる人が増えるでしょう。一度離れた若い家族が中々帰れない街はだんだん過疎にならざるを得ないのです。
  私の故郷も、過疎になりゴーストタウンになりかけていますが、これはどうにもならないのです。

  200年間、居住は無理だと思われる地域は、200年待ちましょう。これは非常識に馬鹿馬鹿しく辛いことですが、除染して居住適地になると言う期待の否定です。

  いつかそこへ帰って来る人は、そこに住んでいた人ではなく、その方の子孫だということになります。200年という期間はどれくらいか、振り返れば徳川家斉の時代から今ぐらい。これぐらい向こうの先です。想像も管理も出来ない先の話です。

 

  それまでどうしたら良いのか。国が推進して作った原発の事故です、国が償わねばなりません。

  その子孫も含めた方たちに何をしてあげたら良いのでしょうか。まず早く代わりの新しい街を作って上げて、良い家と家庭を作る助けをすべきです。当然仕事も学校も病院も整えねばなりません。
  では故郷をなくした未だ生まれていない人々にどうしたら良いのでしょうか。

 

  その居住放棄地の中に本籍を持つ人に100年間の間、つまり2112まで国税を免除するなど方法は有ります。これなら国が長期に出来るのではないでしょうか。

  その居住放棄地、福島原発の近くに、除染土壌の処理場所を作ります、飛散しないように他の瓦礫と混ぜて丘にして木を植えます。その人工の丘は、100年後に津波の避難場所になるでしょう、この丘の近くに護岸のない池を作ります、その土は丘を作るのに使われるのですが、ここに滲み出る水は循環して水質検査を続けてセシウムがある時には吸着剤に吸着させてフィルターで濃縮して水から取り除いて丘に戻します。
  ここは鬱蒼とした自然林になります、その中にいる動物はこの森の中から出さない工夫が必要ですが、中が豊かになるから出ないと考えられます。年月が経つまで非常時以外は立ち入り禁止です。逗子に旧海軍の池子の森という立ち入り禁止の森がありますが、これと似たものになるでしょう。

 

  私たちは1970年から2011年まで、安いと言って原発の電気を享受して来ました、その総量は約8兆kWh。総額は10円/kWhとすると約80兆円でした。福島の事故の被害をいくらと見積もるかですが、全てを含めて100兆円だとすると、12円。つまり22円の電気を原発の電気は安いと言って10円で使っていたのです。
  同じことがまた起きるとは言えませんが、環境と条件が変わっていないとすると似た事がいつか起きる可能性が高いです。我々がもし原発の電気を10円で使うと、12円/kWhのつけを次世代に回していることになります。

 

  ウラン原発を始めた時、高速増殖炉の考えがあり、ウラン燃料が再び増殖すると言う、燃料が出来るという不思議な夢がありました、この夢はもんじゅのナトリューム事故から復活できずにいます、多分袋小路の技術開発でしょう。

  では生まれる(出来てしまった)核廃棄物の処理はどうするのか、この問題も行き詰っています、青森の六ヶ所村で事故でもあると、さらにこのつけは大きくなってこれから払わされることになります。


  100年よりさらに長い期間、放置できないで面倒を見続けなければならない放射性廃棄物、廃炉の面倒を続けなければならない電力会社、自分の目で見て触れられない事故現場、被ばく量制限があるために熟練するころ現場を離れねばならない作業員、そのような矛盾の中で何十年もこの技術を担う技術者がどのように育つのでしょうか。これはどんなに頑張っても自分が代わってやるわけにいかないのです。ゴミのように廃棄して捨てることができない廃棄物です。

  今、3年も経たないのに次々にトラブルを起こしているという廃炉を目指す設備が既にあります。

  この放射性廃棄物を地下貯蔵する適地は日本にはまずないでしょう、どうするつもりで進んでいるのでしょうか。次世代の人が、「判らないからやめた」と言ったら、やれる人が居なくなったら、どうなるのでしょうか。これは100年、数百年の単位でやらねばならないことで、その長期間を補償できる方法を、今の私たちは考えることが必要になります。

 

  まず100年間の故郷補償からやらねばなりません。住めない土地を決めて、除染土壌の処理をやらねばなりません。


  ウラン原発より優れた、トリウム原発があると言いますが、これも未知の技術です。人間がはまった泥沼からどのように抜けだしたらよいのか、今の専門家の力を越えた叡智が必要です。(20130408大森弘一郎)

 

 

【第1原発の近くは適地】

 

  被災地の瓦礫の処理、除染土の処理、焼却汚泥の処理、次の津波に備える避難地の造成、緑地化。この5つを同時に解決する一石五鳥の提案をさせて頂きます。

  東北の太平洋岸の方々のご不幸に対して、対岸に居る人間の他人ごとの提案を、どうか不愉快に思わないでください。
  また福島県の人々が今回の原発事故の不幸を不条理にも受け入れざるを得なかったことにも、その当事者のお気持ちを何とか理解しようとするものです。

  除染土の処理を日本の各地の焼却設備が進んで引き受けると言うことの、互助精神の立派さには敬服します。しかしこれから述べる案を行えばその必要が無くなるのです。

  原発を持つ他県も国も、リスクの可能性を承知で受け入れて来たことですが、その起きてしまったリスクの結果は長く終わらないです。問題と利益を対比して選んだ原発ですが、問題の大きさの凄いことを今回は実体験しました。
  稼働をやめても既になくすことの出来ない原発の放射性廃棄物。矢板市の問題はそれの序曲です。

 

  福島第1原発から広がった放射性物質は雨雲に乗って拡散し、土に含まれ汚泥に濃縮され、焼却灰にさらに濃縮されます。恐らくは完全にとり切ることは出来ず、煙突から一部は出て拡散されているでしょう、汚染は広がっています。人間の健康被害範囲だと考えても、どこでどうなるか心配な話です。

  広がった放射性物質が折角汚泥から灰へと濃縮された、何に形を変えても、原子レベルのことですから、セシュウムは変わりません。放射能は半減期を待つ以外に減らず、どこへ移動しても地球の外に出すことは出来ないのです。

  それならば濃縮して一箇所に集める以外にない、出来るだけ狭く移動しないように集めておいて長い時間を待つ。

  放射性セシューム137を高濃度に含んだ汚泥の焼却灰などの最終処分場を栃木県矢板市に造ると言う話が持ち上がっています。8000ベクレル/kg以上が各地に4万5千トンあると言いますし、これはこれから増えるでしょう。

  セシューム137を考えると、半減期は30年でだから、放射能が30分の1になるのに150年、1000分の1になるのに300年。専門家はこの辺で消えたと考えるらしいです。こういう物の災害を各地で負担しようと言う心は尊いですが、放射能を人為的に分散させるということは出来れば避けたいです。人間が世代を重ねているうちにいずれは消えますが、その間に人体に影響させたくないです。
  東電の原発の近くは最大に汚染されていて、これの復活には長い時間がかかる、どうせ使えないこの真近の汚染地の中にまず最終処分場を造ると考えます。
  

  この周辺地域では「除染をするから5年で帰れる」と言うウソで住民に希望を持たせて人の心を弄んでいます。狭く場所を限ってですが、100年以上は帰れないとはっきり言って、それに相応しい補償をして、新しい生活と故郷を築いて上げることです。辛いけれどそれしかないです。

  その300年間は使えない土地に最終処分場を造れば良い。県も住民も受け入れがたいことでしょうが、遠く離れた所から言うのは不遜だと思いつつ、災害の始末を受け入れ、初めに受けた災害の大きさの中にこれも組み込めないかと思うのです。

 

 

【次に一石五鳥の提案・緑の丘の造成】


  津波の被災地は、漁業の町ですから、住宅を高台移転することは出来ても、職場は海岸の近くになります。そうすればいざという時に逃げる高台を近くに作りたい。瓦礫を焼却したり、廃材として活用しようと考えず、これと土を混ぜて積み上げて、人工の丘を各地に作ります。(この瓦礫処理が一つ)


  この丘には木を植えて緑化して同時に土壌を海浸にも耐えられるように強くする、平素は使わず、いざという時に駆けあがって避難できる道を整備します。(高台避難地が一つ)(緑化が一つ)


  この丘を作る時、まずドーナツ型にし、円周の一箇所を低くして作業の車がドーナツの中に入れるようにします。そのドーナツの穴の部分に除染で出た土壌を入れるが、焼却して出来た灰などの放射性ごみは、厚い耐水シートを敷いた中心に集め土を被せます。セシュームは水に溶け易いですから、焼却灰から地下水への混入対策はこのように充分に行うことが必要です。

  ドーナツの壁は放射線が外部に出ることを完全に遮ってくれます、セシュームから出るβ線も、もしγ線があっても土で遮られて出て来ません。この放射性ごみはセシュームを含むものに限るとします。最終的には上に土を被せて木を植えて漏れないようにします。除染土はこの丘の芯部分を作るのに使います。(除染土の処理が一つ)


  線量の多い焼却灰は中心部に置き、除染土を周囲に被せ、その外周を瓦礫と土が覆っている形になります、その構造は植樹が助けてくれて津波にも耐えられるようになります。樹木の生育に従いこの丘は強くなり、上に高くなります。(焼却灰の処理が一つ)


  瓦礫は土と混ぜて積み上げることが、樹木の生長に必要です。根がこの丘を強くしてくれるからです。その土壌は次の丘の設置場所をから掘って、これを使い、その掘ったところに次の瓦礫の丘を作るのです。

 

  外周は樹木が覆って表面を強くしている。この形は真円に限らず、流れに強い形を選ぶ。おそらく上から見て卵型ではないかと思います。
  これは人々に忘れられたころには放射能は1/1000以下になっており、いつかある次の津波の時に役立ってくれます。当然この丘には建造物を作りません。

  焼却して濃縮する前の汚染土壌もこの場合丘の造成に必要ですから、他の地域のものも受け入れる事が出来ます。300年経って、そこには豊かな森の丘が出来ていて、そこの植物の中に取り込まれた放射能も1000分の1になっている。ここは素晴らしい緑地が出来ています。

 

                   * * * *

 

  放射性廃棄物の処分場が無くて困っています。ウランを入れた鞘に一度火をつけると、使用済み核燃料になっても数100年以上の途方もない期間は保管しなければならないのです。

  今原発ゼロに向けて舵が切られていますが、一度火をつけたものは止めておいても崩壊熱は出続け、冷やし続けなければなりません。そして出来るものは原爆の材料であるプルトニュームだと言うのですから始末の悪いことです。プルトニューム239の半減期は2万4000年ですから、これはどうしたら良いのでしょうか。50年昔のウラン原発の選択には、とんでも無い誤りが有ったみたいです。

 

  溶融塩炉によるトリウム原発というのが原理的にはあるようです。ウラン原発を選ばずにこれを選んでいた方が未だ良かったみたいですが。これが時に新聞に報道されるようになりました。アメリカとインドで試みられていると聞きますが、これにはどんな思わぬ危険が潜んでいるのでしょうか、トリウムにプルとニュームを混ぜて燃やして無くせると言いますが本当でしょうか。

  我々は未来のためにもっと知恵が必要なのだと焦ります。